専業主婦の徒然ぐさ

中学時代からン十年書き溜めた日記と画像を見ながら書いています

同じ夢をみた話(6)

 (5)からのつづきです。

 

 ーそれから、伯母(義母の次姉)さんと伯父さんにもものすごく褒められた。「わたしはー?」とお姉さんが言ったが無視されてたそう。それから約束通りダンナとお姉さんと女の子の三人で笹船を作って浮かべて遊んだ。夕方、迎えに来た伯父さん(義母の長兄)と帰るときには、隣の全員が見送りに出てきて手を振ってくれた。

 

 伯父さんの車でおばあちゃん家にかえると、もうこの話が伝わっていて、またまた家族全員に褒められた。中学生のいとこからは「すごいなー」と。ダンナ「小学校三年生もいいもんだ」とのんきに考えていたが、夜 寝床に入ると、もとの世界(中学2年)には二度と帰れなくて、このまま大人になるのかと複雑な気持ちになったー

 

 ダンナのそのあとの記憶はあいまいで、どうして戻ったのかおぼえていないらしい。特に同じ夢をみたわけでもない(ダンナが忘れてしまった?)。次の記憶は、おばあちゃん家の大きな座敷で昼寝から目を覚ましたところ、まだ日は高く蝉の鳴き声がうるさくて目が覚めた。仏間を見ると、昼寝前と同様にふすまが大きく開かれていてー

 

 仏壇には法事のお供え物が山と積まれていた。左右にはお盆の灯篭や生花の飾り付けがしてあった。「あっ、目が覚めたの。それじゃあ、そろそろ帰ろうか」と、後片付けの為に残っていた母親(義母)が座敷に入ってきた。ダンナ「なんか、すごい迫真感のある夢見たなー」とぼんやりしていると、同様に片付けの為に残っていたー

 

 伯母さん(義母の次姉)が座敷に入ってきた。そして、ダンナに「○○ちゃん(ダンナ)」と。ダンナが寝ぼけ眼で「はあ?」、伯母さん「たまには家にも泊まりにおいでよ」「ほら、おぼえているだろうあの女の子、ことしも隣にやってきてさぁ~『おにいちゃんはどうしてるの?おにいちゃんに会いたい』といってるらしいよ」

 

 同じ夢をみたお話はこれでいったんおしまいです。結局、ダンナは記憶違い(実際に経験したことを忘れている)したのか、本当にワームホール夢で過去に戻り女の子を助けたのか、分からないらしいです。次にダンナが時を超えるのはいつなのでしょうか?実は、既にもう超えたことがあるのかも?             

                     それじゃあ、またね。

同じ夢をみた話(5)

 (4)のつづきです。

 

 みなさん、こんにちは。ダンナが中学二年の夏休み、おばあちゃん家でみた「以前見たことがある夢」、それは今と過去(同じ夢をみた日時)をつなぐワームホール夢だった。中学二年(今)の意識のまま小学三年生(5年前)の世界で目を覚ましたダンナ。いとこたちーよく遊んでくれたお姉さんーに会いに行くことに・・・

 

 その時ダンナに、「もしかしたら(女の子は)、昨日遊んだ場所にいるのでは?」という考えがひらめいた。「ぼく、ちょっとさがしてくる」というや否や、つっかけを履いて玄関を飛び出した。あっけにとられているおばさんの横で、「待って○○ちゃーん(ダンナ)、私も一緒に行くよ」とお姉さん、すぐに短パンからジャージに履き替えた。

 

 ダンナ伯母さんの家を出ると、すぐ裏手にある池に通じる山道を駆け上った。山道といってもー舗装されてないー山の中腹までは中型トラック一台が十分に通ることのできる道幅、私も連れて行ってもらったことがある)。池はその道のすぐ横にあって、小3のダンナが走ったらー家を出てから池まで一分もかからない。

 

 ダンナは道から脇にある池の堤へとあがった。すぐに眼下(昨日笹船を作って遊んでいた場所ー近く笹が群生している中)にふわふわした女の子の白い服と大きな麦わら帽子を見つけた。ダンナは堤から駆け下りながら、「〇〇ちゃん」と呼びかけた。女の子は顔をあげて「あっ、おにいちゃん」と嬉しそうに答えた。

 

 「笹の葉をつんでいたの?」、「うん」女の子はダンナに駆け寄りながら手に持った笹の葉がいっぱい入ったふくろを掲げて見せた「笹船をつくる笹の葉をとっていたの」。「そうなんだ」、「ねえ、あそぼー」と女の子。その時「あっ、女の子いたの」と、お姉さんが駆け寄ってきた。「ここにいたんだー」とダンナと女の子を見比べた。

 

 ―と、「あれー、血がでてるよ」女の子の手を見ながら、お姉さんが言った。どうやら笹の葉をつむときに葉の縁で手の指を切ったらしい。たいしたことはなかったけど、お姉さん機転を利かせて「それじゃあ、一度お家に帰って切ったところに絆創膏はろうよ。そのあとみんなで遊ぼうね」と女の子を促した。

 

 女の子、大きなお姉さんに言われたものだから大人しく「うん」と頷いた。たったこれだけの出来事だった。たったこれだけのことなのにダンナ、隣家の人たちからものすごく感謝された。ほんと、とまどうくらい感謝されたらしい。最初は女の子のおかあさんが、次におじいさんとおばあさん(といっても50歳代)がお礼を言いに来た。

 

                     (6)に続きます。

不思議な少女(7)

   みなさん、こんにちは。(6)からの続きです。例によって気持ちのわるい話です。苦手な方はスルーしてくださいね。 その時ー        

 

 ―と、背後で「チン」と音がして、エレベーターの扉が開くー自治会長さんが僧衣になった父住職をつれて上がってきた。「住職先生のパパ!」Kちゃんが目ざとくー声をかけた。自治会長さんはKちゃんとJちゃんをみていぶかしげな表情をしたが、父住職は「おお、Kちゃんか。今日は大人しくしているんだよ」とー

 

 その声音に非難的なものは一切なく、まるで(Kちゃんが来るのを予めしっていたー)、それどころか(Kちゃんがいて、安堵しているのではー)というふうに妹には感じられたそう。妹たちは二人の後についてお祓いの場所へー、既にそこで待っているメンバーは近づいてくる父住職の姿を認め、深々と頭を下げた。

 

 妹はいちばんあとからついていった。そのうしろに、KちゃんとJちゃんがー。お祓いの場所につくと、僧衣の父住職を一歩手前にして、自治会のメンバーがそれを取り巻くように立った。父住職はメンバーさんに一礼して簡単にお礼と注意事項を述べた後、特にKちゃんらにむかって「心を込めて、おいのりするんだよ」と優しくー

 

 前に向き直ると「では、始めます」と父住職は厳かに告げた。お経がはじまり、自治会のメンバーさんは一様に頭を下げて目をつむり手を合わせた。Kちゃんたちは?とみると、二人ともメンバーさんたちと同じ姿勢で目をぎゅっとつむっていた。しばらくそのまま続けていると、線路を電車が通過する音がきこえた。その音でー

 

 妹は目を開けた。父住職をみると僧衣の袖から遺髪をはったひとがたを取り出していた。最初のお経がおわりみんなが前に向き直ると、父住職は「今からひとがたをとばします」と宣言して手すりの方にさらに一歩すすみ、手を柵から出し「ひとがた」を線路に向かってとばした。メンバーさんはそれに見て、それぞれ手を合わせた。

 

 ーが、それまで大人しくしていたKちゃんが急に「住職先生のパパ、鳥がー」。と、同時にKちゃんは妹の手を「ぎゅっ」と握った。その刹那妹は瞬間的に意識を失ったーように感じた。頭がぼーっとして体がしびれたような・・・でもそれは本当に一瞬だったようだ。すぐに我に返るとー妹は見た。虫と勘違いしたのだろうか?

 

 屋上にとまっていた十数羽のすずめたちがひとがたを追いかけて、夕暮れの空へ飛び立っていた。鳥たちはひとがたのまわりをーまるでひとがたを守るようにしてーむれながら上へ上へと舞い上がった。不思議なことにひとがたはおちることなく飛び続けていた。Kちゃんが「住職先生のパパ」と鋭く声をかけると、父住職は二度目のお経を始めた。

 

 やがて、お経はおわり父住職と自治会長さんが丁寧にお礼を述べ、その場で解散になった。みんなくちぐちに「今日はよかったですね」と声を掛け合ってそれぞれの住居へと戻っていった。「先生、バイバイ。明日は学校来てね!」そういうとKちゃんはJちゃんと遊んで帰るといってちかくにあるJちゃんちの玄関へー

 

 気が付くと、妹は取り残されてー頭の芯がまだ、ぼーっとしびれているような感覚がー。ちょうど前を自治会長さんと父住職が話しながらあるいていたー父住職は魔除け(退魔)の札を持参したのでそれを集会室にはるように伝えていた。三人はそのままエレベータ―に乗り込んだ。目的階へ来ると妹は二人に挨拶をして降りた。

 

 その夜、妹は不思議な夢を見た

不思議な少女(6)

 みなさん、こんにちは。 前回からの続きです。例によって気持ちのわるい話です。苦手な方はスルーしてくださいね。         

 

 マンションでのお祓いの当日。たまに人が飛び〇りる高層階の通路から手前側の線路にむかって、自治会長さんのお友達―父住職―にお経をあげていただくことに。果たして「防空頭巾の女子学生さん?」は、彼女の婚約者さんの遺髪をはりつけた「ひとがた」さんと手を取り合って、やすらぎの国にいけるのでしょうか?

 

 それとも、妹の不安が的中―全く違う展開になるのでしょうか・・・?

 

 時刻は夕刻(逢魔が時)、妹は自治会のメンバーさん数人とお祓いがおこなわれる高層階へあがりました。お経が読まれるのは長い通路の真ん中あたり、「女子学生さん」が立っていた屋上の真下です。そこからお経をあげて「ひとがた」を線路に向かって飛ばし、もう一度お経をあげていただくという段取りです。大体15~20分くらい・・・

 

 エレベーターの扉が開くと、既に数人―自治会のメンバーさんが通路の真ん中あたりに立っていました。「あれ?子供がいる」メンバーさんの一人が呟きました。なるほど大人たちに交じって子供が二人こちらを向いてなにか話しているよう、誰かから「お祓い」のことをききつけて、面白半分でみにきたのかしら・・・

 

  妹はいやな予感がー、というのも娘のRちゃんに今日のお祓いのこと話していたから。妹はなるべくそちらを見ないようにして、エレベーターホールから通路へと一歩踏み出した。すると子供の一人が「せんせー」とうれしそうな声でさけびました。よく知っている声だ、「えっ?Kちゃん」、妹がおどろいてそちらをみると

 

 Kちゃんはすでに妹に向かって駆け出していて、あっというまに妹に飛びついた。キラキラ眼で妹を見上げるKちゃんに、「どうしたの、なぜKちゃんがここにいるの?」と。Kちゃんは「せんせー、今日学校お休みだったでしょ?」と困惑気味の妹に見当違いな返事。いや、そうじゃなくてぇ。「あのね、ママにつれてきてもらったの」

 

 「えっ?おかあさんに」、「うん、ママの車で来た」。一体どういうこと?妹は8月末地区の避難訓練であったKちゃんの母親を思い浮かべた。そのとき「Rちゃんのママ」。Kちゃんの後からついてきたもう一人の女の子が妹におずおずと声をかけたー妹は問われるまでもなくその子をよく知っている。娘のRちゃんの友達―Jちゃんだ。

 

 Jちゃんはこの階に住んでいて、例の9月末の飛び〇りさわぎのとき、Rちゃんと一緒に一部始終を目撃した。「わたしたち、いとこどうしなの」。「えっ?そうなの」。「うん、ママ同士が姉妹なんだ」―Kちゃんがその後を引き継いでこたえた。妹はすぐに状況を理解して、あたりを見回す―とりあえずKちゃんのお母さんにごあいさつ・・・

 

 「ママたちなら、お部屋ではなしこんでるよ」妹の意図を察してJちゃんが答えた。「うん、井戸端会議。話始めたら終わらないよ」とKちゃん。「ああ、そうなの」妹はほっとして「じゃあ、今日はKちゃんのおかあさんが、Jちゃんのママに御用があったのね」と。「ううん、ちがうよ。私がお願いしてママにつれてきてもらったの」。(えっ?)

 

                          つづきます。

最近うれしかったこと?

 子供がいるとー、自分のことより子供のことを褒められる方がうれしくなります。もちろん自分のことを褒められてもうれしいけどねーレッスンを受けている先生に「ピアノ、うまくなったね」といわれるとまいあがりそうになる。今はやめちゃったけど「ジャズダンス」とか「バレエスクール」でも同じだったかな。

 

 ダンナにいわれるとうれしいけど、そこまで感動しない。だってダンナはほめることしかしない、口が上手いってやつ。「またぁー言ってる」ってなっちゃう。それにダンナ、専門じゃあないしね。話はすこしそれたけど最近「うちの二男と三男のこと」でほめられた。今回もこども自慢になっちゃうので苦手な方や、鼻につく方はスルーしてくださいね。

 

 この間、いきつけの歯医者さんへブリッジのメンテに行った時の事。待合室で、うちの次男、三男と同学年のお子さんがいるお母さんに会った。同じ小学校だったし、クラスも一緒な時もあった(私がクラスの役員をやってた時もあった)ので、お互いによくしっていたし、当時はそれなりに話もよくしてたけどー

 

 子供たちが卒業して、それぞれ違う学校へ行って子供どうしのつながりがなくなっても、お母さんどうしはずーっと仲良しって人、結構いるよね。連絡をよくとりあったり、ランチにいったりしてー。私に関していえば「それはない」、もともと人付き合い苦手だし、できるだけ人と関わりになりたくないとおもっているからね。

 

 たとえ、お呼び出しがあったとしても(なかったけどね)なんやかんやと理由をつけて行かないと思う。だから当然、うちの子供らの進路と違うお子さん方のその後の消息は全然しらない。それでも子供たちが友達同士だったりすると子供経由で

「今何をしているか」聞くことができるけどー

 

 うちの子供らも社交的じゃないし友達の数も少ない。なので、待合室で会ったお母さんのお子さんたちが今どうしているのか?なんて全然しらなかったんだけど、このお母さんうちの子のことについてやたら詳しい。中学の成績どうだったとか、どこの高校へ入ってどこの大学へ進学したとか 「誰に聞いたの?」

 

 なんてきけないから「はあ、はあ」て適当に返事してたら、「うらやましいなぁ」とため息まじりに「二人とも成績優秀で、良い大学へ進学して」とやたらうちの子供たちのことを褒めだす始末。こちらも悪い気はしないので「ありがとうございます」と返してさて困った「私、あなたのお子さんたちの進学先しらないよ」

 

 折を見て「○○君や○○ちゃん(相手のお子さんの名前)も良い大学に進学されたんでしょう?」とたずねるとー「うちの子なんか全然ダメ、○○大学なんか歯もたちませんよ」とごまかされた。謙遜してるのかなぁとおもって「そんなことないでしょう。どこ(の大学)へ通ってるんですか」とたずねたらー

 

 「そんな、ここですよなんて名前の言える大学じゃあないんですよ(オイ、その大学に失礼だろうー私の心の声)」と。二重に謙遜しているのか?、名前をいいたくないのか?わからなかった。けど、わたしとしてはもう一歩踏み込んで訊ねる勇気もなく。彼女とそれほどの関係でもないのでー

 

 「また、またぁー謙遜して」というだけにとどめておいた。でもさいごまで(私が診察室に呼ばれるまで)学校の名前をいわなかったところをみるとホントにいいたくなかったのかもしれない。実のところはわからないけどね。それから彼女と入れ違いになってかえったんだけどー

 

 会計の時に中年の女性から「お子さんおふたりとも○○大学ですか? すごいですね」と言われてしまった。まあ、そういわれてうれしいんだけど、母親としては

2人の性格や行動が「素直で心根の優しい、癒し系のいい子になった」ことが本当によかったとおもっている。

 

 ただ、こどもの内面的な事や普段の行動はあまり褒められたことがない。いつもほめられるのは成績とか大学のことばかりー日本は学歴社会だと痛感。うちの母からしてそうだからね。やはり人助けをして表彰状をもらわないと性格や行動は褒めてもらえないんだろうな。まあ、でもうれしかったよ。

同じ夢をみた話(4)

 みなさん、こんにちは。これもかなり間がいてしまったので、おさらいからー

 ダンナが中学二年の夏休みの出来事―おばあちゃん家の座敷で昼寝してワームホール夢―現在と過去をつなぐ夢、この夢をみることによって過去に同じ夢をみた時に目を覚ますことが出来る―をみたダンナ。目が覚めたら、中学二年の意識のまま小学三年生(5年前)で目を覚ました(小3の時、同じ場所で同じ夢をみた)。

 

 つまり時代は5年前で体は小三(9歳)だけど、中身は中二(14歳)です。なんとなく自分の置かれている状況を理解したダンナが最初に考えたこと、それは「当時仲の良かった(母方の)いとこたちに会いに行こう」だった。「どうやったら元の世界にかえることができるのか?」じゃなかった‼。 そこんとこがスゴイ。

 

 ダンナの母方のいとこたちは、みんなおばあちゃん家の周辺にすんでいます。その中の一人、当時仲の良かった(よく遊んでくれた)おねえさんに会いに行くことにー。そこで、犬ととなりの女の子のお世話を頼まれたダンナ、釣り竿とバケツを持ち、犬と女の子をつれて裏山の池にでかけて行ったのでありました・・・・・

 

 池につくと、犬をつないで釣りをはじめたーはいいが、赤い魚影はそこここにみえるもののそう簡単にかかってくれない。女の子はすぐに退屈して犬を相手に遊び始めたので、ダンナ釣りに未練はあったけどー釣り糸を池に垂らした状態で竿を放置してー女の子と犬を相手に、彼女の考えた仮想現実の世界で遊ぶことになった。

 

 まあ、それはそれで楽しかった(?)そうだが、しばらくするとすぐ近くに小川があって水がちょろちょろと流れているのに気が付いた。それは貯水した水を下の田圃へと流す水路で、結構がっしりとした木製の堰が水量を調整していた。そこいら一帯も草が刈り取られていたので、二人は水音にひかれて堰があるところまで下りて行った。

 

 その周りに笹が群生しているのに気付いたダンナ、笹の葉で笹船をつくってその小川(水路)に浮かべて遊ぶことを思い立った。女の子はすぐに笹船の作り方を覚えて流し始めた。笹船は細い流れをくだり、草がたくさん生えている下流へと見えなくなった。二人は作っては流し、作っては流ししていたが、そのうちにー

 

 女の子が笹船に草の葉とか花をのせて浮かべることを思い立ち、いつしか二人はその遊びに夢中になりー。気が付けば、池のつつみから伯父さんに「そろそろ帰ろうか」と声を掛けられていた。釣り竿を池から引き上げると小さな金魚がかかっていた。その時ダンナ「そういえばエサもつけずに釣り糸をたらしていたなぁ」

 

 女の子は笹船の遊びがよほど気に入ったらしく、「明日も遊んでね」と言って隣に帰っていった。聞けばもうしばらく滞在しているらしい。ダンナはしかたなく「いいよ」と返事した。―午後から、いとこのお姉さん(高校生)が帰ってきたので、彼女の部屋でトランプとかボードゲームをして遊んだ。

 

 最初お姉さんは、ダンナに花を持たせてわざと負けてくれていたそうだが、しばらくすると全くその必要がないことに気づき、それどころかダンナがあまりにも賢いことに目を丸くしていたそうだ。そりゃ、外見は小3でも中身は中2だからね。そのうちお姉さん、ダンナにいろいろは質問を投げかけては、博識さを面白がっていたー

 

 次の日、朝ごはんを食べ終わって(9時ころ)ダンナがお姉さんと雑誌を見ていると、誰か来たらしく、玄関がすこしざわついていたかとー思うと、伯母さんが少し慌てた風に二人のところにやってきて「おとなりの女の子がいなくなったらしいんだけど、あなたたち今朝は女の子をみてないよね」と心配顔で訊ねてきた。

 

 「えっ、どういうこと」とお姉さんがたずねたら、伯母さん曰く「今朝、女の子が『今日も○○ちゃん(ダンナ)と遊びたい』といったので、10時ごろまでまってね」とつたえて、そのあとテレビを見てたんだけどー気が付いたらテレビの前からいなくなっていて、家中 庭や納屋の中も探したけどどこにも見あたらなかったそう。それで、

 

 もしかしたら「一人でとなりに遊びに行ってないだろうか?」と、お隣さんが見に来たというわけだそうだ。「いや、こなかったよね」と、ダンナの顔を見ながらお姉さんが困惑気味につぶやいた。ダンナも「いや、今朝はみてないけどー」と。「田舎の家がめずらしいから、家の中でいろいろ探検でもしてるんじゃない」とお姉さん。

 

 その時ー                         つづきます。

不思議な少女(5)

 みなさん、こんにちは。 前回からの続きです。少し間が空いたので(私の怠惰) 登場人物のおさらいをしますね。

私・・・私です(今から十数年前、妹から聞いた話をかいてます)                 妹・・・私の妹、小学校の臨時講師をしています。                      Kちゃん・・・小学三年、妹の勤める学校の児童、妹にすごくなついている        Rちゃん・・・妹の娘、小学校の高学年                            Rちゃんのともだち・・・妹の住むマンションの高層階に住んでる            父住職・・・住職先生のお父さん。お寺の元住職さん隣町にすんでいます。      自治会長さん・・・妹の住むマンションの会長さん、父住職の竹馬の友

 

 例によって気持ちのわるい話です。苦手な方はスルーしてくださいね。         マンションでのお祓いの当日(10月下旬です)、結局妹はその臨時行事(?)に参加することにー。理由は特になかったけど、まあ「珍しいもの見たさ」というか 娘のRちゃんがその出来事に直接かかわっていたことも多少あったかな?

 

 午後三時過ぎ、住職先生のお父さんがやってきた。マンションの集会室に入ってもらい。自治会長さんと段取り(お祓い)の事前打ち合わせ、妹はお茶出しをして他の役員さんと一緒にその話を聞いた。段取りといっても別段に何を用意するわけでなく、いきさつを父住職さんが穏やかに説明するのをみんなで拝聴していただけー

 

 会長さんは事前にその話を聞いているらしく、父住職さんの話が終わるまでほとんど口を挟まなかった。

 

 逢魔が時マンションの屋上に立つ「雪ん子」の目撃者に中学の先生がいた。その方は美術の先生で隣町の出身、父住職さんのかつての教え子だった。父住職はその縁から美術の先生を訪ねて、目撃した「雪ん子」の絵を詳しくかいてもらった。その絵を見た父住職、「雪ん子」ではなく、防空頭巾を被った「女子学生ではないか」と?

 

 父住職はさっそく郷土資料館をたずねて戦時中のことを調べたーすると、妹の住むマンションには戦争中ある工場が建っていたこと、そしてそこには勤労奉仕の女学校の生徒たちがいたことが分かった。彼女らは工場の行き帰りに必ず防空頭巾を被っていたー、そしてさらに調べていくと、一人の女子学生が空襲に遭ったことも

 

 昭和19年 駅から工場にかけてグラマンの空襲があったー、時間帯は夕方、ちょうど駅がこみあって工場勤務の人たちが帰宅する時間。その女子学生は友達と一緒に工場を出て、線路わきを通って帰宅していた。彼女はいつものように友達から少し遅れて一人で線路脇に立って、列車が来るのを眺めていた。

 

 女子学生には結婚の約束を交わした男性がいた。彼は軍役で南方に出征しており、彼女は彼が無事帰還するのを心待ちにしていたそうだ。まさかとおもいつつも、勤労奉仕の行きかえり線路わきから列車を眺めて彼の姿を追い求めていたらしい。それがあだになり彼女は逃げ遅れたーグラマンからの機銃掃射を受けて・・・

 

 そのことは、後日彼女の友人が書いた戦争悲話として郷土史に記載されていたー今よりも個人情報の保護が緩かった時代なので、父住職さん郷土史に記載されていた投稿者から(生存していた)、亡くなった女子学生とその婚約者の男性を特定した。「住職さん兼小学校の先生はさすがに顔が広いなあ」と妹は感心したー

 

 残念ながら、婚約者の男性は南方で戦死していたが、その家族(男性の妹さん)がその街で暮らしていた。その妹さんの子供さんが、な、なんと父住職の教え子だった。父住職はそのつてを利用して、亡くなった男性の実家をたずねて事情を説明して、男性の遺髪を一本、今日の為にもらい受けてきたのだった。

 

 父住職の考えでは、いまだにその女子学生は婚約者が帰ってくるのを屋上で待ってのではないか?なので、その遺髪を男性の名前を記した人形形(紙)に貼り、逢魔が時マンションの高層階からとばしてお祓いをすれば、その「雪ん子」(防空頭巾の女子学生)は人形とともに成仏して、今後あらわれないだろうとー

 

 自治会長さんや役員さんらは父住職の話に感心して「これでもう大丈夫」という雰囲気になっていた。妹も父住職の用意周到さと行動力に舌を巻く思いだったが、一方でそんなにうまくいくのだろうかとー。もし、「雪ん子」がその女子学生じゃなかったら?妹の不安げな表情を読み取ったのかー、自治会長さんが

 

 「大丈夫ですよ。普通のお祓いも一緒にやってもらいますからー」と。それを機に事前説明は終了して、父住職は横に置いてあった僧衣の入ったケースを前においた「失礼して着替えさせてもらいますよ」。それを聞いて妹たちは立ち上がった一足先にお祓いが行われる高層階に移動するためー

 

 着替えが終わった父住職は自治会長さんが、少し遅れて高層階まで案内してくることになっていた。