専業主婦の徒然ぐさ

中学時代からン十年書き溜めた日記と画像を見ながら書いています

とある海辺の町で聞いた話(2)

 みなさん、こんばんわ。
 
 昨日からの続きです。
 工事現場(山の中腹の広場)への道を上りだした経営者さん。日は暮れて海からの残照がわずかに周りを明るくしてた。道には明かりもなく、上り始めて気が付いたのだが、海岸線に沿って曲がりくねった道(県道)のかなり先にガソリンスタンドがあった。

 上がりきると、そこは工事現場ではなく、ダンプカーやショベルカー、重機車両の駐車場のようになっていた。その駐車場の端に小さな木造小屋(車両盗難防止のための監視小屋)と、その隣に簡易トイレ。経営者さん窓から明かりが漏れてる小屋に向かって真っすぐ歩いて行った。手前にドアがあり窓がちょうど県道を見下ろす形で付いていた。「バスが来た時、上からでも見えるな」と。

 小屋の扉に四角い窓がついており(電球の灯りがもれてる)、そこから中を覗き込むとちょうどこちら側(扉側)に足を向けて 作業着を着た男性がうつぶせに寝ているのが見えた。 一応ドアを「コンコン」とノックしたが中の男性起き上がる気配がない。「酔っぱらって寝ているのかな?」と思いながら扉を手前に引くと開いた。

 「すいません、失礼しますよ」と、言いながら中へ。入ったところに土間があり、ひざ下高さの畳の床、左側(県道側とは逆)に流し台とガスコンロが置かれてあった。部屋は狭く土間を入れても六畳くらい。その中で男性が土間に膝から下を投げ出して畳に倒れこむように眠っていた。

 経営者さん、寝ている男性の姿にものすごい違和感、その部屋暖房ないのにその男性の服装が夏のような薄着(いくら室内とはいえ10℃前後)、それにアルコール臭も全くなし。しかも男性が息しているように見えない。うつ伏せでも肺のあたりの背中が上下するのに動いているように思えない。経営者さん男性の長靴をつつきながら、「もし、もし」と大きな声で呼びかけてみた。

 寝ている男性「うん」とも「すん」言わない。経営者さん勇気をだして男性の顔を覗き込みながら(電球色で実際顔色がわからない)、「もし、もし」と肩のあたりを揺すぶってみた。男性ピクリともしない。経営者さん、心臓がドキドキしてきた「もしかしたら、この男性生きていないのでは?」そう思った瞬間「ここにいたらマズイ。もし何かの事件だったら自分も巻き込まれる」と。

 経営者さん、急いで扉を閉めると元来た道を小走りに引き返した。外では海からの風に交じって雪が顔に吹き付けてきた。下り坂の途中ー少し落ち着いて考えてみた。「もし、あの男性が本当に眠っているだけだったら?」「暖房もない部屋であのまま眠ってしまって、あの薄着で肺炎にでもなったら気の毒だ」ー経営者さんいい人。

 そこで、もう一度あの小屋に戻って様子を見ることにした。「眠っていたら、起こして注意してあげよう」と。ほとんど日は暮れてあたりは真っ暗になっていたが地面の雪と小屋の灯りをたよりに。小屋に戻って窓から中を覗き込むと、だれもいない。部屋はカラッポで電球が鈍く点灯しているだけ。扉を開けて土間を見たがそこにもいない。部屋には押し入れなどなく隠れる場所がない。

 自分が小屋を出て、再びもどるまで7~8分くらいしかなかったはず、「男性が小屋を出たのなら、灯りが漏れて気が付く筈だー小屋には背を向けていたが?」。経営者さん横にある簡易トイレものぞいてみたが誰もいない。「一体 あの男性どこへ行ってしまったのだろう?」そんなこと考えていたら先ほどの「ここにいたら、ヤバイ」という感覚がよみがえり。一目散に下のバス停まで駆けおりていった。

 ほどなくしてバスはやってきた。バスが来るまでの間、駐車場へ上る道をみていたが(暗くてよく見えない)だれも上ったり、下りて来たりする者はいなかった。「もしかしたら、寒いのでトラックの中で暖房をして寝ることにしたのでは?」と、考えてそれ以上は考えないように。

 家に帰って直ぐ近くの交番にこんなことがあったと、届けてはおいた。

 翌日からしばらく新聞とかテレビのニュースに注目していたが、関連性のある報道は全くなかった。「そうだ」と思い出して、ノートの地図をみたら、その部分だけ破り取られていた。ホステルの手伝いをしている人(主に家族)に聞いても「誰もそんなことしていない」と。 

 なにか狐につままれたような内容ですが以上が、経営者さんのお話です。
 その翌日私たちは元気に泳いで帰りました。海岸での画像を張り付けておきます。

イメージ 1イメージ 2








イメージ 3