専業主婦の徒然ぐさ

中学時代からン十年書き溜めた日記と画像を見ながら書いています

便利屋さんのお話(2)

 みなさん、おはようございます。

前回(1)のつづきです。便利屋さん=師範代

 

 夜の11時過ぎ、建物は表通りから少し離れており、外部とはオートロックで遮断されているのでエントランスはシーンとしていた。師範代は、依頼者さんに挨拶をすると簡単に自己紹介をして依頼のお礼を言った。それから、それではさっそくといって依頼者さんを促して奥まったところにあるエレベーターに乗り込んだ。

 

 師範代は、箱を隅から隅まで入念にながめて依頼者さんに目的階のボタンをおさせた。エレベーターは動き出しすぐに依頼者さんの住む階についた。師範代は、依頼者さんの正面にたつと、手を肩に軽くおいて目をのぞき込み「もう大丈夫ですよ」と優しく微笑んだ。依頼者さんは訳が分からずに「はあ?」となった瞬間―

 

 「おまえら、いいかげんにしろ!」師範代いきなり大声でどなった。依頼者さん、虚を突かれて師範代の声に驚き全身が「ビクッ」っとなった刹那― 師範代は依頼者さんの肩を力強くつまんだ。 そして依頼者さんにむかってさらににこやかにほほ笑んだ。依頼者さんがあっけにとられているとー

 

 「おまえら、ここから出ていけ!」師範代(笑顔で依頼人を凝視したまま)さら大声で叫んだ。その声に依頼者さん二重にびっくり仰天。それから師範代、肩に置いた手を背中に回し依頼者さんの背中をやさしくさすってから、平手で「ポン」と軽くたたいた。「さあ、これでおわりましたよ」「もう、変なことは起こらないでしょう」とー

 

 「なるほど、暗示をかけたんですね」、いとこのお兄さんが口をはさんだ。

 

  ええ、依頼者さんを観察すると、感受性が強く、かなり神経質でしかも暗示にかかりやすいタイプに見受けられたのでー。「もしかしたら、だれかに暗示にかけられていたのかも?」。「どこで、暗示をかける訓練されたのですか」お兄さんが訊ねると、「いやあ、その手の本を何冊か読んでー見様見真似ですよ」と。

 

 「依頼人さん、この大声(お祓い?)で、今後怪異現象はおこらないと信じている」。「もし、同じような現象が彼(依頼者さん)の身におこったら、どうされんるんですか?」お兄さんがたずねるとー。師範代「多分、起こることはないとおもいますが、念のために、大声(お祓い?)の後に、アドバイスしておきましたよ」。

 

 (次に同じ現象に遭遇したら、それは怪異ではない。以下のように考えて下さい)

・怪しい気配

 エレベーター内の空調とドアが開いた時の外部から流れ込む気流です。

 

・押してないボタンが点灯したり、ボタンを押していない階で停止するー

 気温が急に下がったり、夜になると電気の使用量が減り、コントロールパネルに過電流がながやすくなり、このような誤動作がおきやすい。 こんどみかけたらメンテナンス会社に点検するように、マンションの管理員さんに依頼してください。

 

・耳元で「ボタンを押して」と、声がする―

 多分ー自分の考えていること(思考)が、外部からきこえているのでしょうーそんな気がするだけです。とても疲れていたり、興奮状態でいるとこのような症状(現象)がおきやすい。しっかりと休養をとり、それでも改善されずに続いたり、ひどくなるようなら、心療内科を受診することをおすすめしますーが、そんなことにならないよう、仕事はほどほどに体をいたわってください。お子さんも生まれることだしー

 

 「なるほど、さすが師範代だ」 お兄さんは感心して手をたたいた。「まあ、私の暗示とアドバイス。同じことが起こってももう怖がることはないでしょう」と師範代「全部で一時間足らずの楽な仕事でした―」。「感謝されたんじゃないですか?」と、お兄さん。「ええ夜中、一人でエレベーターに乗れると安堵してましたよ」。

 

 そこでお兄さん声をひそめて「これで、いくらもらったんですか?」

「いやあ、それは言わない方がいいでしょう」師範代はまんざらでもなさそうに、にやりとした。

 

 ダンナを通して聞いた又聞きの話です、ところどころ私の脚色ありです。