専業主婦の徒然ぐさ

中学時代からン十年書き溜めた日記と画像を見ながら書いています

ふしぎな女の子(8)

 みなさん、こんにちは。

 引き続き気味のわるいはなしです。苦手な方はスルーしてください。

 

 真昼間ー休み時間に、教室の窓枠に腰掛けるS君をみた。と、誰かが騒ぎ出した途端、教室には連鎖反応を起こす児童さんが続出。「見た」「聞いた」と騒がれれば、なんとなくそんな気になるのが子供です。「うわー、『○○さんの机』ののろい~」「いやぁ~、こわい、こわい」「私、この教室にいたくないー」「生霊ー」

 

 教室は騒然とした状態にー、担任先生「S君足の骨折で入院中だけど、元気だよ」「先生、昨日お見舞いに行って会ったよ」って言っても、効き目なし。先生「とにかく、みんな落ち着け」と全員をなだめすかしてやっと大人しくなった。でも児童さん、窓のあたりをきょろきょろ見たり、前後左右とヒソヒソ話をしたり興奮が収まらない。

 

 授業が始まっても全員がそわそわしてるし、休み時間に何人かの児童が「せんせぇーなんとかしてよー」とやってきた。担任先生「わかった。わかった」と急きょ学級会をを開催。で「なんで、こんなことが起こったのか」クラス全員で意見を述べて反省会。

結局「友達を大切にしよう」に落ち着いたんだけど。何人かの児童がー

 

 「この教室が変だ!」と言い出した。つまり、ちょうどS君が『○○さんの席』に座ってたのが事故の原因だと。担任先生「じゃあ、どうすればいい?」。児童ら「あの席をなくして、お坊さん呼んでおはらいをしてー」、「祈祷師さんだろう」との突込みはしなかったけど、先生「わかった、校長先生たちと相談する」と約束。でー、

 

 相談した結果、席は失くせないけど空席にする。お祓いは無理だけど、担任先生が考えた「仲良くなるおまじない」を紙に書いて机の近くの壁に貼っておく(床や机に貼れない)ことになった。それでもまだ不満げな児童さんがいたけど、ちょうど夏休み前だったので(休みの間に落ち着くだろうとタカを括り)、この案で押し切った。

 

 担任先生が早速「おまじない」の文言を考え、それを書き込んだおフダ(?)を最後列窓側の席の隣の壁、あまり目立たないようにカーテンを束ねておく場所に貼り付けた。先生が「おまじない」を考えることについては、その先生の家業から異議を唱える児童さんはいなかった。ー「その先生が、僕の父なんですよ」と、住職先生。

 

 「ああ、それでそんなに詳しくー」と、教頭先生がいち早く反応。妹「そんなことがあったんですか?」と。「あったといえばあった。まあ、かなり前の話ですけどね」と、住職先生。「だから、あの『仲良くなるおまじない』、あれってオヤジの発案なんですよね」って住職先生少し自慢げに言ってたけどー(妹から聞いたけど)、

 

 あれと同じような遊び(『仲良くなるおまじない』を作って、相手の子の持ち物にしのばせる)、長女が小学校の頃やってた。「それでS君は、その後どうなったんですか?」妹、一番気にかかっている事を訊ねた。住職先生「夏休み中にケガも治って、二学期から元気に登校してきたそうです」。「そうですか?それは良かったですね」

 

 「ええ、今もすっごく元気で働いてますよ」。妹と教頭先生、顔を見合わせて訊ねた「住職先生、その人が今何をしてるかご存じなんですか?」「知ってるも何もー彼、小学校の先生になって、○○先生(妹)の隣に座ってますよ」。「ええーっ?もしかしたら、S君てT先生なんですか?」。住職先生、大きく頷いて「大正解!」

 

 教頭先生「そういえば・・・T先生、この学校の出身だったんですよね?でも苗字が」、「そうかー彼、婿養子に入ってんですよね」。住職先生「そうです。Sと云うのは結婚前の彼の苗字です」・・・。そんな二人のやり取りを聞きながら、妹は懸命に夢の中にでてきた男の子の顔とT先生の顔を思い比べていた。

 

 T先生の顔にあの男の子の面影があるような、ないような。ー言われてみると、なんとなく似ているといえば似ている。「あれえーなんで私、夢の男の子とT先生が同一人物だなんて、考えたんだろう?」なんて、妹が頭の中で考えているのもつゆ知らず、教頭先生「今日は、面白いお話が聞けてよかった。出勤した甲斐がありました」とー。

 

 「いやあ、失礼しました」と、住職先生。妹も「先生、ありがとうございました」。住職先生、笑顔からふと真顔になって「もう、あの校舎も壊されてしまうのでお話しするのですがー」と、少し言い難そうに。それで、妹と教頭先生も真顔になって住職先生の顔を見た。住職先生調子を変えて「その落下の後、おやじが言ってたんですがね」。

 

 「お父様が?」。「ええ、子供たちや先生らが怖がるから、その時は云わなかったらしいのですがー」そこで住職先生さらに声のトーンを落として「オヤジが言うには『あの教室の中にはなにか得体のしれないものがいる』と」。ーそう言うと住職先生、妹と教頭先生の顔を代わる代わるのぞきこんで、沈黙した。

                            つづきます。

 

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