専業主婦の徒然ぐさ

中学時代からン十年書き溜めた日記と画像を見ながら書いています

クーデターに遭遇したダンナ(2)

 みなさん、こんばんわ。

 すこしだけど春らしくなってきましたね。実家の母からメールで、コロナウイルスの影響で、朝のラジオ体操やサークル活動は全部中止になっていると連絡がありました。父の間質性肺炎が一時的におまっている状態なので心配ですー早く終息してほしい。

 

 さて、なんとか無事に通関したダンナ、兵隊さんの荷物検査もパスして搭乗ゲートへ向かいます。場内放送が一切ないのでなにかいつもと違う感じ、表示板だけが「カタカタ」と動いている。通路にある、免税店や売店は開いていますが、ほとんど人はいはい。ダンナ、お土産にタバコを購入。各搭乗ゲイト付近には兵隊さんが哨戒中。

 

 搭乗口の待合ラウンジも人影はまばら。タイ航空の職員に搭乗券を見せると、いつ出発の許可が下りるかわからないから、飛行機に乗って待っているようにとーダンナ、ブリッジを渡って飛行機へ。中に入ると、乗客がすわっているのは前の数列だけでそれから後ろはガラガラ(空席)。ダンナの席はエコノミーの前から三列目だった。

 

 案内してくれたアテンダントが「今日は空いているから、水平飛行に移ったら好きな席に移動して構いません」、「ただ、飛び上がるまでは指定された座席にいてください」と。ダンナ「それより、飛べそうか?」と質問、「多分、大丈夫だけど、いつ許可がでるかわからない」と。ダンナ「ここまできたら、待つしかないなぁ~」。

 

 一番前の席にアメリカから来たカップルがいてー男性の方が大きな声でアテンダントらに向かって「おれたち、今回新婚旅行できたんだけど、良い思い出ができたよ」と。その男性二人分の席が必要なくらい大きくて太っている。でもすっごく器用に一人分の座席に体を半分以上はみ出しながら座っている。ダンナ、それを見てなぜか感心。

 

 いつ出発するかわからないから、ドリンクサービスが始まっていてー乗客がほとんどいないのでアルコール類飲み放題の状態、いつも一人に一個ずつ配るスナックも食べ放題。それから2時間くらい待っただろうか、急に入口の方が騒がしくなってフライトアテンダントと同じような格好をした若い男女が10名くらい飛行機に乗り込んできた。

 

 全員タイ航空のトレードマーク、ランの花の模様をあしらったTシャツを着て、

簡単な手荷物を持っていた。全員が一塊になって空いている座席へなだれ込み、大声で騒ぎながらシートベルを締め始めた。と、同時に入口の扉が閉まる、機長から「当機は間もなく離陸します」のアナウンス、それを聞いてダンナほっと一安心。

 

 飛行機は「安全確認のビデオ」を流しながら、滑走路へ。ダンナ近くにきたアテンダントに「最後に乗り込んできたあの人たちは何者?」と訊ねると、「タイ航空の地上勤務の人たちで、今日はクーデターで仕事がなくなったから、今から一泊二日でシンガポールに遊びに行くところだ」と説明してくれた。道理で全員ハイなわけだ。

 

 地上勤務の人たち全員大盛り上がりで、飛行機が水平飛行に移ると直ぐにシートベルトを外して、「手伝ってあげる」と言うとエプロンを付けて機内食の準備を始めた。ダンナそれを見ながら「飛行機ガラガラだし、もしかしたら彼ら(地上職員)タダで乗せてもらってる?」と思ったらしい。でも、流石にそれは訊けなかった。

 

 食事が終わってまったりしていると、フライトアテンダントが来て「もう一人前たべないか?」と訊ねてきた。ダンナ「これ以上はたべられない」とお断り。でも、新婚さんの旦那は二人前ペロリと食べて、もう一人前食べようかなぁと思案中。奥さんが慌てて「これ以上は、ダメ」と。旦那素直に「はい、わかりました」と奥さんにチュー。

 

 それを見ていたフライトアテンダントが「奥さんを愛してるんですねぇ」と。

旦那「はい、だからもうお尻に敷かれています」と答えて、周りから大爆笑。うちのダンナその和やかな雰囲気をみて、とても(先ほど、飛び立ったばかり)地上でクーデターが起こっているとは考えられないなあと、ちょっと拍子抜け。

 

 飛行機は定刻から遅れること3時間で、シンガポールチャンギ空港へ着いた。飛行機から出るとき、地上職員も含めて大勢で見送ってくれた。また、残ったスナック(袋に入った食べ切りタイプ)を余ったから持っていけと、ポケットに3袋ほど入れられた。いつもお土産(搭乗記念)にくれるランの花も3個くれた。ほんと大サービス。

 

 税関から出たのが夜の8時過ぎ、事務所の人が迎えに来ていた。ダンナに「よく来れましたねぇ。タイから乗ったと聞きましたが、途中で(飛行機が)引き返したとか云う情報も入るしー、案内で聞いたらこちらへ向かっているというこで、待っていて正解でしたよ」と。ダンナ「ほんと、ご苦労様でした」と先ほど貰ったスナックを渡した。

 

 のんびり屋の私は、ダンナが帰って来てからクーデターが起こった件を知った。慌ててその日の新聞をみたら、なるほどクーデターの記事が第一面に出ていました。ダンナ

「クーデターよりも、あの航空会社の職員の方に度肝を抜かれたよ」と。