専業主婦の徒然ぐさ

中学時代からン十年書き溜めた日記と画像を見ながら書いています

ふしぎな女の子(1)

 みなさん、こんばんわ。

 

 妹から聞いた話です。以前の記事で書きましたが、妹は小学校の先生をしてました(記事「おねえちゃんがこわれた?」参照)。結婚して子供が生まれて退職しましたが、子供に手がかからなくなるとパートの教員補助として小学校へ勤めるようになりました。そこで不思議な出来事を経験しました。苦手な方はスルーを。

 

 妹の仕事は担任先生の補助(副担任みたいなもの)です。授業中、児童らの間を回って学習指導をしたり、先生が出張でいないときは実際に教壇に立って児童らを教えます。パートの期間は3年間で、初年度は六年生を受け持つT 先生に付きました。T先生に気に入られた妹は、次年度もT先生(三年生を受け持った)とペアを組むことに。

 

 もともと小学校の先生だった妹にとって、この仕事はさして難しいものではありません。こどもの扱いにも慣れています。T先生のクラスは三十六人の児童さんがいて、女の子の方が多かった。その中にKちゃんという少し変わった女の子がいた。ただ、今時の子はみんな個性豊かなので、たって妹が気にするほどじゃなかった。

 

 Kちゃんは先生が何をいってもあまり反応しない。先生が何か尋ねてもぼんやりとして(先生の顔は見ているけど)返事をしないーそんな子。何かわからないことがあったら、先生に訊ねずにみんな友達に訊く。余程のことがないと自分から先生には話しかけない。これはT先生に限ったことでなく、全ての先生がその行動の対象だった。

 

 唯一の例外は保健室の先生(養護教諭)、この先生とはすごく仲が良くて、昼休みに時々友達と保健室に遊びに行っていた。kちゃんの学習態度は良くもなく悪くもなく、ノートはきれいにとっていたし、宿題も忘れずにしてきた。また、友達とは大きな声で話してよく笑い、休み時間は校庭で活発に遊んでいた。友達との関係も良好。

 

 体育が好きで、とくに徒競走、鉄棒、縄跳びは得意。妹は当初、Kちゃんは先生(大人の人)と話すのがにがてなんだなぁと思っていた。友達と笑いながら話していても、先生にはなしかけられると、すぐむっつりと黙り込んでしまう。そんなKちゃんだったけど、妹は対しては違ってた。五月になると妹にしがみついてくるようになった。

 

 休み時間には友達と一緒に妹にまとわりついて「先生、遊んで」「何かお話して」と。校庭で友達と遊んでいても、妹を見かけると一目散に走って飛びついて来たり、手をつないで来たり。校外学習の時は、一緒にお弁当を食べたり。手作りのアクセサリーや手紙なんかもくれたことがあったそうだ(話を聞く限りーそんなに変じゃあない)。

 

 妹が、その話をkちゃんが2年生の時担任だった先生にしたら「Kちゃんがそんなことを」と、大変驚いていた。先生曰く「私が何をいってもまともに返事をしたことがなくてーKちゃんいつもぼんやりしてて、授業中私の方を見ずに教室の天井とか部屋の隅を眺めてた」。で、職員会議でも注意すべき児童のひとりに上がっていたそうだ。

 

 隣でその話を聞いていた古手の先生が「先生(妹)、いたくKちゃんに気に入られたようですね」と笑った。その先生が言うにはKちゃんがそのような態度を取るのは家庭環境のせいでーKちゃんは5人兄弟の2番目で祖父母と暮らしている。祖父母は五年のお姉ちゃんをかわいがり、父親は二人の弟、そして母親は末っ子の女の子(乳児)を。

 

 Kちゃん、家の中では「はみだしっ子」状態なのだそうだ。古手の先生の分析では

「先生(妹)とても優しそうなので、Kちゃん『この人ならば、私のことを構ってくれる』と思って 懐いてきたんじゃあないですか。子供のカンはするどいですからねえ」。そういわれてみると、妹にもーKちゃんの態度にー思い当たるフシがある。

 

 でも、だんだんとKちゃんの態度がエスカレートして、妹を独占するような態度を取り出した。給食の時はかならず自分の隣に座るように言ったり、授業中他の児童さんの学習指導をしてたら自分のとこへ来るように要求したり、用がないのに呼びつけたり。流石の妹も少しばかりkちゃんに辟易するようになった。

 

 けれども、Kちゃんが家の中で悲しい思い(はみ子扱い)しているのを思うと、なかなか強い態度がとれずいた。それに妹も教員時代に同じような経験をしたことがあったので、少しづつKちゃんから距離をとるようにして、できるだけ担任のT先生に、Kちゃんと係わりを持ってもらうようにしていた。 そして、一学期が終わりました。

                                 つづきます。