専業主婦の徒然ぐさ

中学時代からン十年書き溜めた日記と画像を見ながら書いています

大家さんは、、、、?

  こんばんわ。
 
 私、ガッコ―に籍おいたまま、結婚して名古屋へ行きました。
 そこで、それまでに会ったこともないような濃い人々に会った。
 
 バブル突入期の年の瀬。その日はダンナが契約したアパートの下見に実家から名古屋へ。前週、不動産屋さんとの契約は終わってたが、付け替えてもらった鍵が間に合わなかったのでその受け取りと、大家さんへの挨拶。

 その日ダンナは仕事で、終わってからアパートで会うことに。

 不動産屋さんは名古屋の今〇にあり、あらかじめダンナが連絡いれといたので、営業の人が待っててくれて名前をいったら直ぐガキくれた。その人と車で大家さんとこへ。挨拶終わったら、車でアパートまで連れて行ってもらうことに。

 車中で「奥さん、いくつですか?」とか「おめでたですか?」聞かれてうっとおしかった(もう、四か月になろうとしてた)。勤め先でも、わかる人には妊娠してるのバレてた。「若いのに、もったいないね。」とか言われて、ーほっといてくれ。

 名古屋市内、道が広いのとまっすぐに伸びていることにまずびっくり。

 挨拶は大家さんからのリクエスト、なんでもアパート入居する人 全員に会って人物を鑑るそうだ。「苦手なだなぁ」と思ってたら、「大丈夫ですよ。いままで✖になった人いないし、契約も済んでるし」と。
 
 明るい立派なビルが立ち並んでいる広い通りからその裏通り(でも広い)へ、その道の両側には少し薄汚れたビルが。あるビルの裏手にある駐車場に入って車が止まった。そのビルに大家さんが住んでいるそうだ。

 ビルの裏口から入り、業務用のエレベーターで上へ。中間階でエレベータをおり、「こっち、こっち」と導かれるままに入口へ、そこだけ個人の表札が出てた。

 初めての体験だったので、少し詳しく描写します。
 
 両開きの鉄扉をカンカンとノック「こんにちは。○○不動産です。○○さんおつれしました。」。片方の扉がひらき黒シャツ、黒ネクタイ、黒ズボン、黒サングラスの体格のいいお兄さんが「どうぞ。」。

 もう片方の扉側にも同じ背格好のおにいさんが。この時点で私ビビってしまった。部屋に入るとスゴイ暖房が。正面にパーティションがあり部屋を仕切ってた。窓にはすべてブラインド。照明は蛍光灯、でも薄暗い。部屋かなり広い。

 パーティションは天井までなく、上に向かってもう一度「○○不動産です」と。「どうぞ」と、扉が開き、中へ招きいれてくれたのは、銀縁メガネをかけたインテリ風の中年男性、その人は白シャツ、普通のネクタイとズボン。

 部屋に入ると、正面(中央)にはこたつに入って三毛猫を抱いた80歳ぐらいのおばあさんが、ちゃんちゃんこ着て寒そうに背中丸めて胸までこたつ布団をかぶってた。

 床は普通のフロア、その上に分厚い畳を部屋半分敷いて、その中央に布団を何重にも重ねたこたつ。畳の両側には入口と同じ格好をしたお兄さんが二人、エアコンでガンガン暖房しているうえ、スタンド式の真っ赤な電気ストーブ両隅に。

 おばあさんの後ろ(壁側に)キッチン、キャスターに乗ったテレビ、衣装箪笥や食器棚 箪笥の上には日本人形が何体も。キッチンの手前に 四畳くらいの畳を敷き、その中央で茶釜シュンシュンと音を。その横にはお茶の道具(茶室風)。

 キッチンの椅子に、髪を結い和服を着た上品な女性が真っ白な前掛けをして腰かけてた。

 なにー、このシチュエーション?私、暑さと息苦しさで倒れそう。

 銀縁メガネの男性がおばさんの右横来ると、不動産屋さんが私を紹介。わたし「こんどお世話になる○○です。どうかよろしくお願いします。」考えてきた割には短い挨拶。

 男性がおばあさんの耳元で何かぶやくとおばあさん「うんうん」、今度はおばあさんが男性の耳へ。男性「はいはい」と頷いて、私見て「どこへお勤めですか」と。私、ダンナの勤務先を紹介。するとまた「うんうん」、「はいはい」で、「あっそうですか。○○(株)ですか、立派な会社ですね。」ダンナの勤め先結構有名。で「○○事業所長さんは、元気にしておられますか?」と。

 「えっ?事業所長さん もしかしてダンナの会社のお偉いさんと知り合い?」すかさず不動産屋さんが「はい、おかげさまでお元気にしておられます。」と、返事。
後で分かったことだが、○○事業所長さんダンナの会社に全く関係ない人。

 するとおばあさん、しゃがれた声で「声がなぁ、ようでんもんで、ごめんしてくだされ。」。そして、和服の女性向かって何か合図。「なにもにゃーけど、お茶でも飲んでいきなされ。」和服の女性、野点ならぬ部屋点の用意をはじめた。「やばい」私お作法全然わからん。緊張して何をどうしたのか覚えてないが、お茶碗くるくるまわして、最後は結構なお点前でした。おばあさん「うんうん」と、うなずいてくれたのでこれでよかったのかと、一安心。

 不動産屋さんが頃合いを見計らって、「では失礼します。」と、私もペコペコ頭を下げて「今日はありがとうございました。」二人で逃げるように退散。

 エレベーター乗って「ふう」と、一息ついて「これで良かったのですか?」と、訊ねたら「上出来ですよ。」と、感心してた。普通はあいさつしてさよなら。よくてふつうの「お茶」、お点前のふるまいなんか見たことがないと。私「どこが気に入られたんでしょうか?」

 そのあと教えてくれたのですが、おばあさん、アパートとこのビルの他、アパート・ビル数件のもってる資産家。銀縁メガネの人は息子さんで、和服の女性は息子のお嫁さん(しかも茶道のお師匠さん)。
 
 私もうこれだけで疲れてしまいました。

                     つづきます。